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他人事ではない「サイバー攻撃」の脅威

保険代理店のための分かりやすいDX 26

代理店から情報漏えい
ビジネスの根幹揺るがす事態にも

2025年4月、保険業界では情報セキュリティに関する重大なニュースが相次ぎました。中でも注目されたのは、大手損害保険会社の委託先である保険代理店が、ランサムウェアによるサイバー攻撃を受け、顧客情報が漏えいした可能性があると発表された件です。さらに同月、日本損害保険協会は、業界全体に対して情報セキュリティ管理水準の改善を目的とした指導を行ったことを公表しました。

これらの動きは、DXの取組みを進める保険代理店に対し、業務効率化だけでなく「情報をどう守るか」という視点の重要性を改めて突きつけています。顧客との信頼関係を前提とする保険業において、情報漏えいはビジネスの根幹を揺るがしかねないリスクであり、「他人事」では済まされません。

保険代理店は、住所や電話番号、契約情報、金融口座、健康状態など、極めて機微な個人情報を日常的に扱います。一度でも情報が流出すれば、顧客からの信頼はもちろん、損保会社からの委託停止や、行政からの指導といった深刻な影響につながる可能性があります。にもかかわらず、「中小規模だから狙われない」「ITに詳しくないから仕方ない」といった油断が一部に残っているのが現状です。

弊社では、保険代理店向けに開発・提供している顧客管理システムのユーザー様を対象に毎月オンライン勉強会を開催しています。その中でもセキュリティ対策の重要性については繰り返しお伝えしてきました。IDやパスワードの取扱い、クラウド環境での注意点、システムのセキュリティ対策と設定方法など、現場で実践できる対策をテーマに取り上げ、継続的な啓発に努めています。こうした活動を通じて、参加者の意識にも変化が見られるようになってきました。最近では「うちも具体的な対策を始めたい」「管理体制を見直したい」といった前向きな相談も増えつつあります。

では、保険代理店が今すぐ取り組むべきセキュリティDXとは何か。以下の3点を基本としてご紹介します。

①セキュリティ体制の「見える化」
どの情報が、どこに、誰の管理下で存在しているかを洗い出し、リスクの所在を明確にすることが第一歩です。

②ITリテラシーの底上げ
事故の多くは「知らなかった」「うっかり」の積み重ねです。すべての職員が最低限のセキュリティ知識を持つことが求められます。

③委託・外部連携先の管理強化
「委託先が原因で情報漏えい」が現実に起きています。契約段階でのセキュリティ基準の明記と確認が不可欠です。

DXとは単なる効率化ではなく、「顧客と自社を守る仕組みの再構築」でもあります。情報セキュリティを“経営課題”として捉え、日常業務の中でどう守るかを考えることが、これからの保険代理店には求められています。私たちも引き続き、皆さまの現場を支える情報と学びの場を提供してまいります。安心して任せられる代理店づくりを、共に進めていきましょう。

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https://www.viewsystem.info/ 

第3369号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2025年5月26日

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