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なぜ、その提案をしたのか明確に見える状態を残す

保険代理店のための分かりやすいDX 42

DXの視点で見た比較推奨販売のあり方
——適切な募集を行ったことを記録、後に説明・検証できる仕組み構築する

2026年8月28日、金融庁は令和7年保険業法改正に伴う内閣府令・監督指針等について、パブリックコメントの結果を公表しました。今回の改正では、乗合代理店における比較推奨販売のあり方などが大きく見直されています。

その内容をDXという視点から見ると、これから保険代理店に求められるのは、単に業務をデジタル化して効率を上げることだけではありません。「適切な募集を行ったことを記録し、後から説明・検証できる仕組みをつくること」が、より重要になっていることが分かります。

例えば、お客様から「あなたに任せます」「おすすめの商品でいいです」と言われた場合でも、それだけをもって任意の商品を推奨してよいわけではありません。

保障内容、保険料、特約など、何を重視しているのかを確認し、それでも明確にならない場合には、当初の意向や顧客属性、加入目的、既契約なども踏まえ、合理的な基準や理由によって商品を推奨することが求められます。

そしてDXとの関係で特に注目したいのが、「記録」と「検証」です。金融庁は、顧客の意向や商品を提示・推奨した理由、どのような説明を行ったのかについて、後から確認・検証できるよう記録・保存することを求めています。システム上のプルダウン方式なども活用できますが、それだけでは意向や推奨理由との関係が分からない場合には、補足記録も重要とされています。

つまり、「入力欄を埋めている」「チェックを付けている」だけでは十分とは限りません。後から見た人にも、「なぜこのお客様に、この商品を提案したのか」が分かる状態にしておくことが大切です。

きちんと対応したことを説明できるか

また、システムを導入すれば、それだけで適切な募集になるわけでもありません。商品の選定ロジックや使用するデータ、比較対象などに、手数料や販売目標といった代理店側の都合による誘導がないかを確認・検証する態勢も重要とされています。

これは代理店経営者にとって重要なポイントです。一人ひとりの募集人が適切に対応するだけでなく、「会社として、その対応を把握し、確認できているか」が問われます。担当者の記憶や個人のメモだけに頼っていては、募集品質の確認や担当者変更時の引継ぎ、万一の苦情・トラブル時の検証にも不安が残ります。

だからこそ、これからのDXは「入力を楽にする」「作業時間を短縮する」だけではありません。顧客の意向、提案理由、説明内容、対応の経緯を組織として記録・共有し、必要なときに確認できる環境を整えることも重要です。

「きちんと対応している」から、「きちんと対応したことを会社として説明できる」へ。今回の制度改正は、デジタル化がこれからの代理店経営と募集品質を支える「仕組みづくり」であることを、改めて考える機会になりそうです。自社にとって最適の態勢を考えていきましょう。

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