新日本保険新聞 コラム

自社自身の人脈を地域に活かす「あの会社でなければ」と言われるために

地域密着型経営のススメ
-人口減少対策は進めていますか?-

第4回目
自社自身の人脈を地域に活かす「あの会社でなければ」と言われるために

「自分が生まれ育った地域で、地域や地域の方々に貢献できる仕事をしたい」との思いからこそ、一度進学や就職で出身地である地元を離れても、Uターン就職で地元の保険代理店へ就職された方は多いかと思います。私のいる徳島県鳴門市の様な人口が減少している小さな町の場合は、周囲の他業種にもそんな思いを持って帰って来られた方が数多くいらっしゃいます。都心部では異なるかもしれませんが、地方都市の大半がこういった形で事業承継や就職されているのではないでしょうか。

さて、改めまして保険代理店は保険という目に見えない将来の安心を商品とする職種で、必要とされる能力の1つが信用力かと思うのですが、地域や地域の方々との信頼関係を構築していくためにも「社員一丸となった地域貢献」が必要であり、比較的それを実行しやすい職種と言えるでしょう。

事例としまして、私、徳島県損害保険代理業協会の広報委員長を拝命しているのですが、前会長様は東日本大震災の後、「未来ある保育園児達を津波から何としても守りたい」と商売抜きでお考えになられ、南海トラフ地震から徳島県保育園児を守る会を自身で雇用する営業マンを中心に発足し、会員で寄付金を募り、徳島県の保育園協会へ園児達を守るために役立てて欲しいと寄付をされるといった素晴らしい活動をされております。食事をご一緒させていただいている時に、「丸宮くん、人と人とが信頼関係で結ばれる保険の仕事をしているからこそこんなことができるのだぞ。この仕事に感謝しなければな」と笑顔でおっしゃられていました。保険はお客様からすると、あの人・あの会社(保険代理店)に任せていると考えられるのが基本となるでしょうから、前会長の様な熱い想いを持たれている方が地域から信頼されるはずです。

また、地域密着型経営の保険代理店は、困った時はすぐに相談に乗れ、細かいサポートができるのも特徴ですし、人脈の多さも1つの特徴であることから、自身や自社で築き上げてきた人脈(専門家)をお客様や地域のために紹介し、活かすことができるのも、ならではかと思います。そのためにもお客様や地域の情報をいち早くキャッチし、営業マン一人ひとりの頭ではなく会社で共有していき、地域が人口減少の一途を辿ったとしても、地域に身近な存在であることを浸透させ、しっかりと会社として地域を守っていく姿勢が大切になってくるのではと思います。

なお、前々回の2回目と重複しますが、地域密着型経営として前進していくのであれば、地域の団体に所属するのは後継予定者や役員に固執することなく、社員の方でもPTAや消防団など、地域に貢献できる団体はたくさん存在しますので、進めてみるのもいいかもしれません(実際に私の周囲でそういった会社がございます)。

社員一丸となり地域に貢献し、地域の皆様から「あの保険会社でなければ」ではなく、「あの会社(保険代理店)・あの人でなければ」と言われる会社・人を目指し続けていきましょう。

第2935号(週刊)  新日本保険新聞[生保版]2016年8月8日

過去のコラムは以下のとおりです。
第1回目 住んでいる町が消えてしまう・・・変化に適応した行動が急務
第2回目 地元ケーブルテレビにレギュラー出演 地域想う同世代の同志との出逢い
第3回目 縦や横のつながりの重要性増す SNSの積極活用で人間関係構築が容易に
第4回目 自社自身の人脈を地域に活かす「あの会社でなければ」と言われるために
第5回目 お客様の顔と名前どこまで覚えています 相手を想う挨拶 些細な会話が原点
第6回目 将来が心配な世帯増加 生保商品の必要性さらに高まる
第7回目 代理店の持つ人脈活用に期待 これまで以上のネットワーク構築が必要
第8回目 顧客情報を自社システムで一元管理 対応履歴こそが最大の財産 細かなやり取りを
第9回目 顧客情報の蓄積、データ化が命運握る 他業種との提携強化で収入源が変化
第10回目 5月には改正個人情報保護法が全面施行 机の上に個人情報記載の書類が・・・
第11回目 志を持つ地域の若手経営者とコラボ企画 新生活がスタートする今が好機
第12回目 地域情報サイトを運営 地域の人や事業者と共に成長する仕組作り
第13回目 人が来たくなるコンテンツは何か?
第14回目 他業種との積極的交流を 地域の中小企業経営者を獲得する
第15回目 保険でお客様の金銭的問題を解決する お金の大切さについて周知しよう
第16回目 顧客数増やす地道な努力 21世紀は分かち合う時代 『対面』の価値をいかに提供するか
第17回目 電子データの活用で広がる顧客からの感謝の幅 情報は代理店にとりかけがえのない「財産」 くれぐれも宝の持ち腐れにせぬように
第18回目 新たな収益源の確保を 自治体との“連携”をキーワードに
第19回目 保険とゴルフの相関関係 よろず屋でありコンサルタント 環境悪化しても必ず活路はある
第20回目 人こそが最大の商材 保険営業マンは頼られる「職人」
第21回目 代理店における採用活動を考える 自由度の高い保険ビジネスの魅力
第22回目 この十数年で業界、社会環境激変 今の業務フローに常に疑問持ち続け
第23回目 AIに取って代わられるのか? 保険の素晴らしさを再認識 保険の仕事は商品よりも人 人と人とが信頼しつながることで成り立つ
第24回目 近隣のハザードマップを用意していますか 顧客、知友人にもぜひともご案内を
第25回目 ビジネスに繋がる人間関係の構築を推奨 地域の団体やコミュニティに所属することは地域貢献
第26回目 さまざまな2018年問題 加速する子どもの減少 地域貢献としてセミナー、催しを積極開催
第27回目 自主的にコンプライアンス順守を徹底することが自らを守る 保険会社から親離れする時に 自ら考え行動することが急務
第28回目 強いチームは皆、同じ方向に向けて進んでいる 組織として機能し続けることが不可欠 強い組織には『イズム』がある
第29回目 災害救助法について把握しておこう 緊急時の顧客への対応体制を構築する 各地で相次ぐ大規模天災 代理店としてどう対応すべきか
第30回目 相次ぐ天災、保険の大切さを痛感 こんな時こそ代理店が「ヒーロー」に
第31回目 異常な天災相次ぐ1年 代理店にとっても多忙な年に 代理店自らの「万一」を考える必要も 組織化で本当の安心感を提供
第32回目 顧客が困ったときに思いだしてもらえるか 相談に乗れる存在になる 情報が保険販売に変わり収益に
第33回目 地方の目立つ自動車保険依存の収益構造 自動運転のニュースには敏感 生保代理店・損保代理店で情報交換の場を設定 代理店間で情報量に圧倒的な差
第34回目 「人」にかわり、「スマホ」や「仕組み」が保険契約を取る時代に 吸収する代理店、される代理店 お客様が喜ばれることは何なのか?
第35回目 「お客さまの声」、前向きに捉え 企業の成長、信頼を高める 苦情管理、適切に行われていますか PDCAサイクルを構築・確認する
最終回 各地で進む人口減少 あらゆる地域で加速化見せる 体制整備、未来への種まきは進んだか? 新たなリスク出現にビジネスチャンスも

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