保険代理店のための分かりやすいDX 27
煩雑な事務的作業が大幅に短縮
限られた人員で高品質な対応可能に
2025年5月、保険業界では、DXの本質である「業務効率化」にとどまらず、「人材育成」や「顧客体験の高度化」にまで視野を広げたAI活用の取り組みが話題となりました。
中でも注目を集めたのが、来店型保険ショップ「保険見直し本舗」によるAI導入の動きです。全国358店舗を展開する中で、代理店としては国内初となるAI活用を進めており、数十社・数百商品に及ぶ商品比較や契約提案の負担を軽減。AIが最適なプランを的確に選び出すサポート体制を構築しています。担当者は煩雑な作業から解放されることで、顧客との対話や提案により多くの時間を割けるようになり、結果として顧客満足度の向上にもつながっています。
また、業界全体でも、生成AIや音声AIを活用した営業支援ツールの試験導入が進んでおり、AIの活用はもはや「試してみる段階」から「業務に組み込む段階」へと移行しつつあります。
ここで、なぜ「AI活用を含むDX」が重要なのかを3つ挙げます。
① 業務の「質」を標準化できる
AIを活用することで、スタッフ間の知識・文章力・説明力のバラつきを補い、一定以上の品質を保てるようになります。例えば、提案文やお客さま向け案内文をAIがサポートすることで、「わかりやすい」「伝わる」資料を誰でも作成できるようになります。
② 人材育成のスピードアップ
ベテランの経験値に頼らずとも、新人スタッフがAIの力を借りて提案書作成や対応トークを組み立てられるため、現場への定着が早まります。教育にかかる手間も減り、人手不足の中でも育成負荷を抑えることができます。
③ 「ひと手間」かかっていた作業を自動化できる
例えば顧客に送る満期案内や面談後の報告メール、社内向けの週報作成など、手書き・コピペで時間がかかっていた作業をAIが下書きしてくれるだけで、担当者の時間と負担が大幅に減ります。
弊社でも、毎月開催しているオンライン勉強会において、先月は「ChatGPTの活用」をテーマに取り上げました。保険代理店の皆さまにとって、どのような業務でAIが実際に役立つのかを、営業・事務・経営の各視点から具体的な事例を交えてご紹介しました。
実際に弊社では、提案書や案内文の作成時にミスが目立っていたスタッフが、AIの支援を受けることで文章精度が向上し、確認作業の負担が軽減されました。また、「企画や施策がなかなか出てこなかった業務でも、AIとの対話を通じて次々とアイデアが湧いてきた」といった実践的な成果もあります。
AI活用は、単なる作業効率の向上にとどまりません。限られた人員でも高品質な対応が可能になり、顧客とのコミュニケーションにも余裕が生まれます。こうした実感が参加者のDX推進に対する意識を高め、「まずはやってみよう」という行動変容にもつながっています。
DXとは、単にデジタルツールを導入することではなく、「人と顧客を中心に据えた、未来志向の仕組みづくり」です。今こそ、自社に合った形でAIを取り入れ、現場の課題を一つひとつ着実に解決していく絶好のタイミングではないでしょうか。
▼保険代理店のDXはエムアイシーへ
https://www.viewsystem.info/
第3373号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2025年6月23日
📘 この記事は、クラウド型顧客管理システム「MIC-ViewSystem」を開発した、現役の保険代理店である株式会社エムアイシーがお届けしています。