新日本保険新聞 コラム

新たな収益源の確保を|自治体との“連携”をキーワードに

地域密着型経営のススメ
-人口減少対策は進めていますか?-

第18回目
新たな収益源の確保を
自治体との“連携”をキーワードに

このところ保険会社が地方自治体等と連携する動きが目立ちます。損保会社では損保ジャパン日本興亜が東京都を始め、新潟市、南魚沼市、宮崎市、鹿児島市および鹿児島県、福岡県、徳島県他と、三井住友海上が各地方自治体と。生保会社では日本生命が島根県や大阪府他、第一生命が鳥取県他、アクサ生命が秋田県、さらに第一生命とネオファースト生命が埼玉県と連携協定を締結しました。特に損保ジャパン日本興亜は戦略的にかなり力を入れているようです。

具体的な連携協定内容として、①医療・健康増進、②地域の安全・安心、③文化・芸術振興、④防災・災害時の協力、⑤事業継続計画(BCP)策定、⑥食の安全と県産品の販売拡大、⑦高齢者・障がい者の支援、⑧子育て支援、⑨女性活躍推進、⑩地域の活性化と県民サービスの向上、主にこういった内容です。これらを保険会社がどう進めていくのか、一保険代理店、一会社としても動向は注目したいものです。

さて、こういった連携が保険会社主導で始まりましたが、パワーこそ少ないものの保険代理店が独自に行っても全く問題ありません。都道府県単位で見ても多くの自治体が人口減少は否めないですし、市町村単位を見ても同じです。ましてや市町村単位なら保険会社より保険代理店の方がフットワーク良く活躍できるフィールドが多いことでしょう。

個人的にこの「連携」は今後ますます必要となり、それぞれの持つ強みと強みをかけ算することによって、サービスや顧客獲得の大きな力になり、新たなビジネスや商材が創造できる可能性が高まると考えています。

先日、徳島県鳴門市の名産品である、なると金時の生産者の方と話していますと、作って卸すのが精いっぱいでどう売ったらいいか全く分からないとおっしゃられていました。生産者以外に、様々な業種の技術者も同様、いくら物が良くても「売り方や売る方次第」で結果は大きく変わってきます。良い会社やセールスパーソンと連携ができれば、地方自治体や地域企業にとって、プラスに働く良い連携の1つと言えるのではないでしょうか。もちろん生産者×販売者、技術者×販売者だけでなく、販売者×生産者、生産者×生産者など、化学反応や連携の形は無限大です。

例えば、形無き物を販売する保険セールスパーソンは、人脈や信用があり、プレゼン能力に長けている方々が多いかと思います。極端な話ですが、地域における地場産品や小売店の商品まで、それらの強みを活かした販売のプロとして活躍し、感謝から販売主の保険の契約もいただけ、win-winの関係を構築ということもできなくはないでしょう。

マーケットが縮小傾向にある保険業界にとっては、連携というキーワードを率先して活用し、新たな収益源の確保という未来への保険をかけておくことも大切かもしれません。

第2991号(週刊)  新日本保険新聞[生保版]2017年10月9日

過去のコラムは以下のとおりです。
第1回目 住んでいる町が消えてしまう・・・変化に適応した行動が急務
第2回目 地元ケーブルテレビにレギュラー出演 地域想う同世代の同志との出逢い
第3回目 縦や横のつながりの重要性増す SNSの積極活用で人間関係構築が容易に
第4回目 自社自身の人脈を地域に活かす「あの会社でなければ」と言われるために
第5回目 お客様の顔と名前どこまで覚えています 相手を想う挨拶 些細な会話が原点
第6回目 将来が心配な世帯増加 生保商品の必要性さらに高まる
第7回目 代理店の持つ人脈活用に期待 これまで以上のネットワーク構築が必要
第8回目 顧客情報を自社システムで一元管理 対応履歴こそが最大の財産 細かなやり取りを
第9回目 顧客情報の蓄積、データ化が命運握る 他業種との提携強化で収入源が変化
第10回目 5月には改正個人情報保護法が全面施行 机の上に個人情報記載の書類が・・・
第11回目 志を持つ地域の若手経営者とコラボ企画 新生活がスタートする今が好機
第12回目 地域情報サイトを運営 地域の人や事業者と共に成長する仕組作り
第13回目 人が来たくなるコンテンツは何か?
第14回目 他業種との積極的交流を 地域の中小企業経営者を獲得する
第15回目 保険でお客様の金銭的問題を解決する お金の大切さについて周知しよう
第16回目 顧客数増やす地道な努力 21世紀は分かち合う時代 『対面』の価値をいかに提供するか
第17回目 電子データの活用で広がる顧客からの感謝の幅 情報は代理店にとりかけがえのない「財産」 くれぐれも宝の持ち腐れにせぬように
第18回目 新たな収益源の確保を 自治体との“連携”をキーワードに
第19回目 保険とゴルフの相関関係 よろず屋でありコンサルタント 環境悪化しても必ず活路はある
第20回目 人こそが最大の商材 保険営業マンは頼られる「職人」
第21回目 代理店における採用活動を考える 自由度の高い保険ビジネスの魅力
第22回目 この十数年で業界、社会環境激変 今の業務フローに常に疑問持ち続け
第23回目 AIに取って代わられるのか? 保険の素晴らしさを再認識 保険の仕事は商品よりも人 人と人とが信頼しつながることで成り立つ
第24回目 近隣のハザードマップを用意していますか 顧客、知友人にもぜひともご案内を
第25回目 ビジネスに繋がる人間関係の構築を推奨 地域の団体やコミュニティに所属することは地域貢献
第26回目 さまざまな2018年問題 加速する子どもの減少 地域貢献としてセミナー、催しを積極開催
第27回目 自主的にコンプライアンス順守を徹底することが自らを守る 保険会社から親離れする時に 自ら考え行動することが急務
第28回目 強いチームは皆、同じ方向に向けて進んでいる 組織として機能し続けることが不可欠 強い組織には『イズム』がある
第29回目 災害救助法について把握しておこう 緊急時の顧客への対応体制を構築する 各地で相次ぐ大規模天災 代理店としてどう対応すべきか
第30回目 相次ぐ天災、保険の大切さを痛感 こんな時こそ代理店が「ヒーロー」に
第31回目 異常な天災相次ぐ1年 代理店にとっても多忙な年に 代理店自らの「万一」を考える必要も 組織化で本当の安心感を提供
第32回目 顧客が困ったときに思いだしてもらえるか 相談に乗れる存在になる 情報が保険販売に変わり収益に
第33回目 地方の目立つ自動車保険依存の収益構造 自動運転のニュースには敏感 生保代理店・損保代理店で情報交換の場を設定 代理店間で情報量に圧倒的な差
第34回目 「人」にかわり、「スマホ」や「仕組み」が保険契約を取る時代に 吸収する代理店、される代理店 お客様が喜ばれることは何なのか?
第35回目 「お客さまの声」、前向きに捉え 企業の成長、信頼を高める 苦情管理、適切に行われていますか PDCAサイクルを構築・確認する
最終回 各地で進む人口減少 あらゆる地域で加速化見せる 体制整備、未来への種まきは進んだか? 新たなリスク出現にビジネスチャンスも

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