保険代理店のための分かりやすいDX 32
規模問わず すべての企業がサイバー攻撃の対象
———保険代理店も例外ではない 何よりも大切な顧客情報をどう守るのか
2025年9月、アサヒグループホールディングスがサイバー攻撃を受け、生産・出荷が一時停止するという前例のない事態が発生しました。日本を代表する飲料メーカーがランサムウェア(身代金要求型ウイルス)の標的となり、複数工場が稼働不能に。商品の供給が滞り、コンビニや飲食店で在庫不足が相次ぎました。攻撃を自称した犯罪グループは9,000件超のファイルを奪取したと主張し、影響は生産・物流・ブランド信用にも及びました。
この事件が示したのは、「どれほど大きな企業でも守り切れない」という現実です。高いセキュリティ体制を誇る企業でも攻撃を防げず、業務が止まる。規模を問わず、すべての企業が同じリスクの中にいる――それが今の時代です。
保険代理店も例外ではありません。顧客情報が何よりも大切な財産であり商材である代理店が被害を受ければ、事業継続どころか顧客の信頼を失います。MS&ADグループが全国約二万店に一斉点検を要請したのも、この危機感の表れです。サイバー攻撃はもはや一部の企業だけの問題ではなく、保険代理店を含むすべての事業者にとっての“経営リスク”となっています。
では、どう備えるべきか。その答えの一つがDXです。DXとは単なる効率化ではなく、情報を安全に蓄え、いざという時にも止まらない仕組みをつくること。
例えば、顧客や契約情報、対応履歴を一元管理し、担当者間で共有できる環境を整える。アクセス権限を明確にして不正アクセスを防ぎ、データを定期的にバックアップする。こうした取組みがリスクへの耐性を高め、組織を「止まらない体制」へ導きます。
つまりDXとは、システムを導入することではなく、「情報が散らばらない」「人が属人化しない」「業務が止まらない」ための基盤づくりです。これにより、サイバー攻撃や突発的なトラブルが起きても被害を最小限に抑え、顧客との信頼を守ることができます。DXの推進は、セキュリティ対策であると同時に、代理店が社会的責任を果たし続けるための経営戦略なのです。
さらにこの動きは保険代理店にとって、“守り”だけでなく“攻め”のチャンスにもなります。企業のサイバー被害が増えるなか、サイバー保険の需要は年々高まっています。
中小企業の多くは「うちは狙われない」と油断しがちですが、被害は業種・規模を問わず発生し、復旧費用や営業損失の負担は甚大です。代理店がこの現実を踏まえ、法人顧客へ「備え」としてサイバー保険を提案することは社会的にも意義ある役割といえるでしょう。
アサヒの被害は他人事ではありません。DXで「守る仕組み」を整え、サイバー保険で「備えの仕組み」を提案する。その両輪を理解し、実践できる代理店こそ、これからの時代に信頼される存在となるはずです。デジタル化の波を恐れるのではなく、味方につけること——それが、顧客と地域を守る代理店の新たな使命ではないでしょうか。
▼保険代理店のDXはエムアイシーへ
https://www.viewsystem.info/
第3393号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2025年11月24日
📘 この記事は、クラウド型顧客管理システム「MIC-ViewSystem」を開発した、現役の保険代理店である株式会社エムアイシーがお届けしています。