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信用を一瞬で失いかねないセキュリティー事故

保険代理店のための分かりやすいDX 31

全国約2万店の保険代理店に対して
【MS&ADインシュアランス・グループがサイバーセキュリティーの一斉点検を要請】
———自社の備えを見直す絶好の契機

2025年9月、MS&ADインシュアランス・グループが全国約2万店の保険代理店に対してサイバーセキュリティの一斉点検を要請するというニュースが報じられました。顧客情報を扱う代理店の体制を広範に調査するこの動きは、金融庁の行政処分や、急増するサイバー攻撃といった背景を踏まえたものであり、業界全体の信頼確保を目的とした極めて大規模な対応です。代理店は顧客と最も近い位置にある存在だからこそ、そのセキュリティ意識が甘ければ、契約者からの信用を一瞬で失いかねません。

その危うさを象徴するのが、同じく今年報じられた保険見直し本舗の事例です。全国に360店以上を展開する大手代理店グループですが、2月にサイバー攻撃を受け、顧客情報の漏えいリスクが表面化しました。その影響もあって経営基盤の強化を迫られ、最終的に米投資ファンドに買収されるに至ったのです。大規模で知名度の高い企業ですら標的となり、信用を傷つけ、経営の主導権を失う現実。これは「どの代理店も決して例外ではない」という強烈な警鐘といえるでしょう。

セキュリティ事故は、単に顧客情報を失うだけでなく、代理店経営そのものを揺るがす事態を招きます。規模の大小にかかわらず、日々の管理が甘ければ信頼は崩れ、最悪の場合は事業継続そのものが困難になります。MS&ADの一斉点検は、そうした現実を業界全体に示し、代理店が足元から体制を立て直すためのメッセージと捉えるべきかと思います。

では、代理店にとっての「分かりやすいDX」とは何でしょうか。難解な技術を導入することではなく、身近な業務改善の積み重ねです。顧客情報を紙やExcelから脱却して安全に一元管理する。見積や契約のやり取りをオンライン化し、入力ミスや誤送信を減らす。事故や更新履歴をデータとして蓄積し、フォローや提案に活かす。これらはすべてDXの一歩であり、セキュリティ強化と業務効率化の両立を実現します。

ただし、システムを導入するだけでは十分ではありません。肝心なのは「人と組織の変革」です。せっかくの仕組みも現場に浸透しなければ成果は出ません。代理店内部で役割を定め、スタッフ教育を徹底し、ルールとして定着させることが欠かせません。MS&ADが教育制度を拡充しているのも、DXを支える人材基盤づくりが不可欠であるからです。

今回の一連のニュースは、代理店が「自社は十分に備えているか」を見直す絶好の契機です。セキュリティはコストではなく信頼への投資であり、DXはその投資を活かす成長戦略です。小さく始めて成果を積み重ね、徐々に全体へ広げていく。その地道な取り組みが、顧客に選ばれる代理店の姿を形作っていきます。

DXは脅威への受け身の対応ではなく、未来を切り開く攻めの手段でもあります。顧客から「安心して任せられる」と言われる存在になるために、今こそ前向きな一歩を踏み出す時ではないでしょうか。

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https://www.viewsystem.info/ 

第3389号(週刊) 新日本保険新聞[損保版]2025年10月27日

📘 この記事は、クラウド型顧客管理システム「MIC-ViewSystem」を開発した、現役の保険代理店である株式会社エムアイシーがお届けしています。

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